この章では私とフリーダイヤルとの劇的な出会いについてお話いたします。
私が大学を卒業し都内の大手人材派遣会社に営業マンとして就職したのは、バブル景気の最後のころ、
そう、今思えばいい時代でした。
新人である私が新規の飛び込み営業をしても、
「あっ○○スタッフさん(私がいた会社名)、ちょうど良かった、一般事務員に欠員が出たんで人を
探していたんだ、2人ほど派遣してください」
なんて感じで簡単に仕事が取れてしまい、
「俺ってセンスあるなぁ、営業って楽勝だな〜・・」
と本気で思っていました。
今思えば、自分が所属していた会社が大手であり、テレビCMを流したり、
また当時には珍しくフリーダイヤルでお客様からの連絡を受けるなど、営業のしやすい環境を整えてくれたことと、
何より景気のいい時代だったからなのに、
「商品が売れるのは全部自分の力、俺ならどこへ行っても通用する・・」
などと考えていた大馬鹿者でした。
そんな私でしたから実父からの
「そろそろ帰ってきて家業を手伝ってほしい」
という言葉にも
「よし、俺が仕事をどんどん取ってきて会社を大きくしてやる!」
そんな気持ちで今まで勤めていた会社を辞め、父の経営する田舎の小さな会社に営業として転職したのはバブル景気が
ちょうど終わり平成不況に突入したころでした。
実父が経営していた会社は建設会社で、私が入社したその頃からだんだんと既存の受注件数は減っていました。
そこで、
「既存が駄目なら新規だ」
と飛び込み営業を1日100件近くやってみたのですが、
「○○建設・・聞いたこと無いなぁ、」
と、注文どころか名刺さえも受け取ってもらえず
「こんなはずじゃなかったのに・・・」
と思う毎日が続きましたが、気落ちをしていても何の前進もありません。
新規の飛び込み営業では結果が出ないことが分かっただけでも良しとして、気持を切り替え、次に当社の宣伝折り込み
チラシを新聞に入れてお客様のほうから手を上げていただき、その方々のみに集中して営業をする作戦に移りました。
折り込みチラシには多くの費用がかかり当社にとって大きな負担になります、失敗は絶対に許されません。
そのため物件も良い物を揃え、広告のデザインは代理店とも相談し、時間をかけてライバル会社に負けない、
いやそれを上回るチラシが出来上がったと思い、配達のその日を心待ちにしていました。
いざ、チラシが配られた日の朝は休日にもかかわらず全社員が出社し万全の体制で問合せの電話を待ちました。
がしかし・・・
「電話がならない・・・」
結局100万円近くかけた折り込みチラシに対して問合せの電話は2本、そして成約は0件でした。
後で分かったことですが、同じ日に出したライバル会社のチラシには20件の問い合わせがあり、
うち3件もの成約があったそうです。
「この違いは何なんだ??」
それを教えてくれたのは、なんといつも私の一番近くにいた妻でした。
「だってA社さん(ライバル会社)の問い合わせ先はフリーダイヤルで電話代がタダだけど、
あなたの会社はその電話代をお客に払わせているじゃない・・・」
「えっ、フリーダイヤル?それだけ・・・?たった10円のことだろ?」
「何言っているの!主婦にとって10円って馬鹿にならないし、
やっぱり問い合わせ先が
フリーダイヤルだとちゃんとした会社に見えるから、
安心して電話ができるんじゃない?」
「おいおい、そんな大事なことならもっと早く教えてくれよ!」
私はすぐNTT取次店に電話し覚えやすい番号を選び、次に作成したチラシには大きく当社のフリーダイヤル番号を
載せたことはいうまでもありません。
そしてその結果、半信半疑だった私に奇跡は起こりました。
18件の問合せ電話がお客様からかかってきたのです。
そう、お客様のほうから。
「本当かよ・・」
私も含め全ての社員が驚愕し、やがて誰からともなく拍手が沸きおこりました。
そして私の目からは熱いものがこみ上げてきたことを今でもしっかり覚えています。
このことがあって以来、私はフリーダイヤルを大手や一部の企業
だけのものではなく、
もっと多くの中小零細企業が上手に利用するべきだと思うようになったのです。